KCKC鑑定方法! ~どうやってKCKCは鑑定しているの!?~

 スニーカー人気が高まりつづける今日このごろ、簡単に購入できないモデルも増えてきました。昨年も、Travis ScottのAir Jordan6が国内でリリースされ、atmos千駄ヶ谷店には600人以上が平日から並んでいました。購入して店を出てきた人に、中国人のバイヤーが「12万円で買います」と声をかけていたという衝撃の情報も(笑)

 このように、スニーカーを買うことがスピードや運勝負になってきた今、二次流通で購入される方も多いのではないでしょうか。ただそうなると気になってくるのは、その真贋。特に某フリマアプリでは数多くのフェイクスニーカーが散見され、二次流通で購入する際には看過できない問題となってきています。こうした背景のもと、スニーカー取引サービス「KCKC」は、”鑑定”をしっかり価値として打ち出しています。売買の仲介だけではなく、そこに鑑定というプロセスを入れることで取引に透明性を生み出しているのです。

 ではいったいKCKCはどのように鑑定をしているのでしょうか? ちゃんと鑑定しているのでしょうか? 今回は、ユーザーの皆様が気になっているであろうこのポイントを徹底的にレポートすべく、KCKCのオフィスに突撃訪問してきました。

なんとラッキーなタイミング!

 秋葉原から歩くこと7-8分、KCKCのオフィスに到着しました。今日はいったい鑑定についてどこまで教えてもらえるのでしょうか、ドキドキしながらドアを開けると…..

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な、なんと!!

まさにドンピシャなタイミングで鑑定士のRayさんがスニーカーを開けていました。しかもこの画だけで既にお分かりの方もいるかも知れません、かなりのレアスニーカーです。ちょうど今から鑑定するとのことで、その様子を密着させてほしいとお願いしたところ、快くOKを頂きました。

徹底解剖!KCKCの鑑定プロセス

 なんと今回の鑑定スニーカーは、2019年9月に発売されたNIKE × SacaiのコラボスニーカーLD WAFFLEでした。これもかなりの争奪戦で、二次流通ではかなり高額なプレ値で取引されています。確かに自分がこのスニーカーを買うなら、フェイクが怖くなりますね。まさに鑑定にはうってつけの一足です。

 それではいよいよ、鑑定スタート!

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まずは1次チェックと呼ばれる工程を行います。

KCKCオフィスに到着した際に、事前にスタッフが正規品の写真データを様々な角度から撮影してデータ化しておいたそうです。Rayさんはそれを見ながら、黒タグ・中タグ、箱タグのチェック、更にそれぞれのタグに記載されている情報をきちんと照合しています。

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続いては箱のチェック。

箱の大きさや作り、さらに包装紙の材質まで細かなポイントをひとつひとつ確認します。

これがKCKCの1次チェックという鑑定プロセスになります。

およそ15分かけて、各タグや箱・包装紙といったわかりやすい箇所をチェックし、それをパスしたスニーカーが最終プロセスへと進みます。するとRayさんは、ズラッとならぶスニーカーの箱の山をゴソゴソとしています。何をしているのでしょうか…

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 見間違えかと思いましたが、奥からもう一足SacaiのLD WAFFELEが…..

Rayさんに聞くと、「最終チェックでは実際に正規品と見比べるようにしています」とのことでした。自分の鑑定知識だけではなく、しっかりと現物比較も判断材料にするという点は、とても特徴的ですね。

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なかなか贅沢な光景ですが、このように左足×2、右足×2という流れで細かく比較しています。

正規品としっかり見比べることで。さらに鑑定の精度があがっていくのですね。数十分かけて様々な角度から、形状や縫製、素材をしっかりと見比べていました。

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更に、ソールの圧力(硬さ)を測定する特別な機器もKCKCにはあるのです。これは珍しいですね。ベトナム工場から出荷される時の正規スコアを知るKCKCは、そのデータと正規品の圧を測定し、さらに鑑定スニーカーの圧も測定するというトリプルチェックで、また新しいポイントでの鑑定を実現しているのだそうです。

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無事、今回の鑑定は通過したようです!

最後に鑑定情報が記録されたRFIDのシールをタグに貼り、想いを込めてスニーカーに取り付けます。こうして、約45分に及ぶ鑑定が終了いたしました。

KCKCが鑑定に込めた想い

 KCKCの鑑定風景、いかがでしたか?フェイクが改良を重ね、どんどん正規品に近いクオリティで流通してきた今、スニーカーの鑑定は、とても難しいものになってきています。そうした中で、KCKCのように、鑑定プロセスを二段階に分けながら、しっかりと正規品と見比べて判断する方式を採用しているのは、買い手としてとても安心できると感じました。

 最後に、今日お世話になったKCKC鑑定士のRayさんにお話を伺うことができました。

—    そもそもKCKCに鑑定士として加入することになったきっかけとは?

Rayさん「偽物のスニーカー自体は昔から存在していたものですが、最近はスニーカーブームがきっかけで特に偽物が注目を集めるようになってきましたよね。誰がどう見ても(偽物)、みたいなものもありますし。今までは「自分が偽物にひっかからなければいいや」と思っていたのですが、このブームの影響でとうとう身近な人まで偽物を掴まされるようになってきたのです。さすがにそれはどうにかしたいな、という想いがあった時にKCKCからオファーを頂いたのがきっかけですね。」

—    「スニーカー鑑定士」という役割を担うことは、怖くなかったのですか?

「いや、もうほぼ怖さしかないですよ(笑) 僕自身がコレを仕事にしてきたわけではないですし。スニーカーって二次流通な時点で”100%本物”ってものはないと思うのです。だから僕の仕事は、自分の持っている知識でそれを限りなく100%に近づけていくことなのかなと。もし仮に1%でも自分の中で疑いがあったものは出荷しないようにしています。」

—    KCKCの鑑定プロセスの中で一番のアピールポイントとは?

「僕たちには強いネットワークがあるので、スニーカーの本物(正規品)を手元に持てるところですね。鑑定するスニーカーを正規品と目の前で照らし合わせることで、様々な点からチェックできます。これは強くアピールできる点です。また、鑑定に使用した正規品自体も、写真や映像で記録してアーカイブしています。これによって、KCKCで鑑定する際の参考データも増えていくのも強みだと言えます。」

—    今日の取材で思いましたが、鑑定のプロセスを2段階にしているのはすごいと思いました。他のスタッフもそのチェックに入ったりするのでしょうか?

「もちろん黒タグ・中タグ、箱タグのチェックなどの1次チェックに入ってもらうことはあります。これには理由があって、鑑定って一人よりも複数人、同じタイミングではなく別のタイミングでやったほうがいいです。例えばスタッフと一緒に鑑定していると、誰かが気になる点を指摘してしまうと、みんなにその意識が共有されてしまうリスクがあります。間違っていようがいまいが、その点は気になってしまいますよね。なので、タイミングを分けて、チェックしたポイントだけを聞いて引き継ぎます。そうするとまっさらな意識で僕も鑑定できるので、結果的に精度の高いダブルチェックになっていきます。」

—    なるほど。こうした鑑定プロセスだと、Rayさんのもとで鑑定スタッフも育っていきそうですね。

「そうですね。今一緒にやっているスタッフも、最初の頃はほとんど知識がなかったです。でもそれは、裏を返すとフラットなものの見方ができるということ。例えば、「そんなところまで見るの?」ってポイントまでチェックしていて、「これはおかしいです」とか言ってくるのです。逆に僕の固定観念がほぐれていくようで、とても新しい発見でした。スタッフの成長だけではなく、自分自身もそういう見方にふれて成長できるので、チームとしてポジティブなことだと思います。」

(了)

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